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言葉づかい(5、日本語を日本語で翻訳する)

「文字を書き起こす」ことは英語で「transcription」というのですが、弊社の業務は「transcription」というより翻訳、「translation」に近いと思っています。

文字起こしは単なる文字化ではない

書き起こしは業務の一つなのですが、発言をそのまま書き取ることはほぼありません。

だいたいは読みやすいようにフィラーやケバと呼ばれる「あのー」などの無意味語はよけながら書き起こしますし、書き起こし原稿の用途に合わせて語尾を変えたり、より強く文語調に整えたりします。機械翻訳用に文節を分ける処理をすることもあります。

そして弊社の特長としては、発言内容を歪めることなく、発言者の意図を読み取り、文字・言葉で表現することです。これは、編集やライティングも常々行っているから可能なのですが、ある意味、発言者の言葉に込められた言外の意志を翻訳しているのだと思います。

文語を口語に訳しながら内容に忠実に

発言したままの自然言語は、表情やその場でのコミュニケーションがあってこそ、聞き手に伝わるものです。それがなく、録音された音声だけになったときには、語調、前後の文脈、発言者の経歴、著書、ウェブサイト、資料などさまざまなところから情報収集し、文語調の読めるものに訳し、編集していくのです。

もちろん、「たぶんそうだろう」は許されません。言葉を付け加えたり、変更したりするには根拠が必要です。根拠に基づいて、正しく、しかし伝わりやすく、自然言語の日本語をそのまま文字にしたり、口語調の文章にしたり、文語調の文書にしたりする。

日本語の中でも、翻訳しなければならない場面はたくさんあり、日本語をさまざまなパターンの日本語文章にできる柔軟性は、やはり人間の手仕事でなければできない部分ではないかと思っています。

AIが日本語を整えてくれるのも楽しみ

とはいえ、これも機械ができるようになったら、それはそれでありがたいです。もっともっと、つくりたい文章があるのでライティング自体も機械、AIが手伝ってくれたら…小説なども、プロットができたらある程度仕上げてくれるのかも? 期待しています。

人間の手仕事×機械翻訳は、言葉の創造が無限に広がりそうです。

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